ゼリア新薬から販売されている「ドルマイシン軟膏」は、化膿を予防することでもお馴染みの市販薬です。
全国の薬局やドラックストアなどで手軽に購入でき、とても人気の高い塗り薬の一つです。
「ドルマイシン軟膏」はニキビや湿疹などを治せるのか、副作用や使用上の注意点(使い方)などについて解説していきます。
ドルマイシン軟膏の成分は?どんな効果があるの?
「ドルマイシン軟膏」は、二種類の抗生物質を配合しているので、多くの菌に対して抗菌作用を示します。
二種類の抗生物質について、それぞれの成分の特徴や効果を解説します。
ドルマイシン軟膏の成分
コリスチン硫酸塩
コリスチン硫酸塩(硫酸コリマイシン)は、Bacillus polymyxa var. colistinusの培養液から抽出・精製された白色結晶性の粉末です。
抗菌作用はグラム陰性菌に対し選択的に作用し、殺菌作用を発揮します。
また、緑膿菌に対しても効果を発揮します。
バシトラシン
バシトラシンは、菌種Bacillus subtilis var. Tracyの培養液より抽出された白色~淡褐色の粉末です。
ペニシリンと近似の抗菌スペクトルを有し、大部分のグラム陽性菌と陰性菌の一部に効果を発揮します。
ドルマイシン軟膏の殺菌作用
「ドルマイシン軟膏」は、殺菌作用が異なる二種類の抗生物質を配合しています。
そのため、グラム陽性・陰性菌による単独又は混合感染症に効果を発揮します。
さらに外傷・火傷等の感染(化膿)を予防しながら、治療もしてくれる塗り薬です。
ドルマイシン軟膏の使い方
「ドルマイシン軟膏」の使い方は、1日1~3回、適量を患部に直接又はガーゼに塗布して用いるとされています。
私がニキビや湿疹などに使用するときは、1日2回(朝・夜)塗ることが多く、特にお風呂上りは入念にケアしています。
基本的には患部に直接塗っていますが、症状によっては患部の上にガーゼやコットンなどを使用して、外気に触れさせないように工夫しています。
「ドルマイシン軟膏」を塗るときに、手が汚れるのが嫌な方や患部に触れることができない場合は、綿棒を使って塗るのもおすすめです。
また、形状(基剤)が軟膏なので、クリームよりも塗るとベタついたり、テカってしまいやすいデメリットがあります。
そのため、塗りすぎると「汗をかいている」「皮脂が出ている」など、客観的な印象が悪くなってしまう恐れがあります。
特に顔や首などの人目につきやすい部位に使用する場合は、塗りすぎないように注意してください。
ドルマイシン軟膏とドルマイコーチ軟膏の違い
「ドルマイコーチ軟膏」は、ゼリア新薬から販売されている塗り薬で、化膿を伴う湿疹、皮膚炎、毛嚢炎などに効果を発揮します。
どちらの商品もゼリア新薬が販売しており、名前もよく似ていますが、配合している成分が大きく異なります。
『ドルマイシン軟膏』と「ドルマイコーチ軟膏」の効果や成分などの違いについて解説します。
ドルマイコーチ軟膏はステロイドを配合!
『ドルマイシン軟膏』は、二種類の抗生物質を配合していますが、ステロイドを配合していません。
それに対して、「ドルマイコーチ軟膏」は二種類の抗生物質に加えて、ヒドロコルチゾン(ステロイド)が配合されています。
ステロイドには、炎症による皮膚の腫れや赤みを抑え、かゆみや痛みを和らげる効果があります。
「ドルマイコーチ軟膏」が配合しているヒドロコルチゾンの強さは、5群 / 弱いに分類されています。
そのため、軽い症状を治療するときに使用することが多く、デリケートな顔(肌の薄い部位)にも使いやすいステロイドの一つです。
炎症を鎮める成分(抗炎症成分)を『ドルマイシン軟膏』は配合していないので、腫れや赤みを改善する効果はあまり期待できません。
したがって、腫れや赤みなどの症状(湿疹、皮膚炎など)が気になる場合は、「ドルマイコーチ軟膏」の方が適しています。
ただし、ステロイドは副作用が起こることもあるので、皮膚が炎症していないときは『ドルマイシン軟膏』の方が適しています。
また、細菌や真菌(カビ)、ウイルスなどによる皮膚感染症には、ステロイドを用いることは原則としてありません。
さらに重い火傷や皮膚潰瘍に使用するのも不向きとされています。
これらの症状にステロイドを用いると、かえって症状が悪化したり、治りが遅くなる恐れがあるためです。
ドルマイシン軟膏と処方薬の違いは?
『ドルマイシン軟膏』は、ドラックストアで手軽に買えるため、傷やニキビに使用したことがある方も多いと思います。
それに対し、「ゲンタシン」や「アクアチム」、「ダラシン」などの処方薬は病院に行かないと手に入れることができません。
『ドルマイシン軟膏』と処方薬の効果(強さ)や特徴などの違いについて解説します。
ドルマイシン軟膏と処方薬の効果はどっちの方が強い?
抗生物質(抗生剤・抗菌剤)は、ステロイド剤のように強弱で分類されていません。
その代わり、抗生物質が作用する(感受性微生物を示す)範囲を「抗菌スペクトル」で表します。
グラム陰性菌やグラム陽性菌など、複数の細菌に効果を示す抗生物質は、抗菌スペクトルが広いとされています。
それに対し、限られた細菌にのみ効果を示す抗生物質は、抗菌スペクトルが狭いとされています。
つまり、強弱で言い換えるのであれば
- 抗菌スペクトルが広い = 効果が強い
- 抗菌スペクトルが狭い = 効果が弱い
上記のようになります。
ただ、あくまで無理に言い換えているので、正確には強い・弱いでは表しません。
わかりやすくより適切な表現で言うと、抗菌作用(殺菌作用)が広い・狭いで分類されます。
ただし、抗生物質(抗生剤)の種類によって、抗菌スペクトルが大きく異なるため、成分の適応範囲の広さについて、一概には言えません。
その都度、症状に応じて治療薬を使い分けることが重要になります。
ドルマイシン軟膏と処方薬はどっちの方がよく効く?
「ドルマイシン軟膏」は、二種類の抗生物質を配合しているので、抗菌作用の範囲(抗菌スペクトル)が広いとされています。
薬の知識がない方は、薬のパッケージ・知名度・口コミなどで、どの市販薬を購入するか決めることが多いと思います。
誰がどんな症状に使っても満遍なく効果があるように、メーカーも想定して作っていると考えられます。
それに対し、ほぼ全ての処方薬は一種類の抗生物質のみで出来ているものが多いため、抗菌スペクトルが狭い(効果の範囲が狭い)です。
しかし、一般の方が何となく市販薬(ドルマイシン軟膏)を選ぶのと大きく異なり、医師がしっかりと判断して処方するので、ピンポイントで効き目を発揮してくれます。
特に抗菌スペクトルの知識のない方は、「とりあえずドルマイシン軟膏を使えばいいや!」と、安易に決めてしまいがちだと思います。
「ドルマイシン軟膏」の適応範囲外の場合は、効果が期待できないばかりか、耐性菌(薬剤耐性菌)ができてしまう恐れもあります。
そのため、医師又は薬剤師に相談して、適切な治療薬を選んでもらう(市販薬になければ処方してもらう)ことが望ましいです。
また、症状が悪化してしまうと、治すまでに余計な時間がかかるデメリットもあるので、少しでも悩んだらすぐに相談しましよう。
ドルマイシン軟膏はニキビを治せるの?ニキビ跡への効果は?
多くの方が悩んでいるニキビですが、ニキビの進行度(軽症~重症)によって、段階・種類別に分けられています。
ニキビの種類 | 症状 |
---|---|
初期ニキビ | 男性ホルモンの働き、および角質乾燥によるバリア機能低下によって、毛穴が柔軟性を失い収縮してしまった状態。 |
白ニキビ | 角栓によって塞がった毛穴の内部に皮脂が溜まりつつある状態。 |
黒ニキビ | 毛穴内部に溜まった皮脂(白ニキビ)が、紫外線や空気中の酸素によって黒く酸化した状態。 |
赤ニキビ | 炎症を起こして赤く腫れた状態。 |
黄ニキビ | 炎症が悪化してしまい、膿んで黄色くなっている状態。 |
紫ニキビ | 炎症が極限まで悪化し、毛穴の中に膿と血が溜まって腫れ上がっている状態。 |
これらのニキビに「ドルマイシン軟膏」を使用して、どの種類のニキビに効果があるのか、治療方法や注意点などを紹介します。
軽度のニキビならドルマイシン軟膏で治せる
以下のような症状が軽度のニキビであれば、「ドルマイシン軟膏」を使用することで、すぐに治せる可能性が高いです。
- 初期ニキビ
- 白ニキビ
- 黒ニキビ
- 赤ニキビ(症状の程度による)
白ニキビや黒ニキビなら早ければ2~3日で治すことができ、早い段階からニキビを治療することで、症状が悪化を防ぐことにもつながります。
ただし、赤ニキビの場合は赤みや大きさ、範囲などの症状がひどいと、「ドルマイシン軟膏」で治せないことがあります。
私が「ドルマイシン軟膏」を赤ニキビに使用したときは、ほとんどのニキビは治せたのですが、症状がひどくなると効果がありませんでした。
炎症(赤み)があまりひどくなく、小さいニキビにはすぐに効果があったので、1週間程度で治せました。
しかし、赤ニキビの炎症がひどかったり、数が多い(範囲が広い)ときは効果がほとんどなかったので、皮膚科に行ってようやく治せました。
とりあえず2~3日塗ってみて、症状が良くなっているなら使用を続けて、改善されないのであれば皮膚科に行くことが望ましいです。
さらに赤ニキビが悪化するとニキビ跡が残る可能性もあるので、症状が全然治らなかったり、ひどくなるようなら、早めに皮膚科を受診しましょう。
また、ニキビ跡の原因になってしまうので、安易に爪やコメドプレッシャーなどで無理に押しつぶしたりしないでください。
重度のニキビは皮膚科に相談する
重度のニキビは「ドルマイシン軟膏」などの市販薬だけで治すのは難しく、効果が期待できないことが多々あります。
- 赤ニキビ(極度の腫れ、重度の炎症など)
- 黄ニキビ(化膿、出血、痛みなど)
- 紫ニキビ
残念ながら、上記のような重度のニキビに「ドルマイシン軟膏」を使用しても、ほとんど効果がありません。
赤み(炎症)があまりひどくなくて、化膿などもしていない程度の赤ニキビであれば、症状が軽いうちに「ドルマイシン軟膏」を使用することで治せると思います。
しかし、炎症がひどくて腫れ上がっている、広範囲に複数できている、触れてもいないのに痛みを伴うなどの場合は、効果が期待できないことも多いです。
ニキビが化膿して黄色くなっている状態の黄ニキビに関しても、それほど症状がひどくなければ治せることもあります。
ただ、黄ニキビから重症とされているので、なるべく皮膚科に行って診てもらうことが望ましいです。
しかもニキビが化膿している状態で潰してしまうと、ニキビ跡(色素沈着、クレーター跡)が残る確率が非常に高くなります。
特に紫ニキビまで悪化してしまうと、処方薬(効果が強力な薬)を使用しても治せなくなってしまいます。
厳密に言うと、薬を普段と同じように塗ったところで、ニキビの芯や溜まっている血膿などの原因そのものを取り除かない限り治せないのです。
私は赤ニキビや黄ニキビがさらに悪化して、紫ニキビ(腫れ上がって化膿している状態)になってしまったことが何度かあります。
そこまでニキビの症状が悪化してしまうと、自分では手の施しようがなかったので、皮膚科に行って切開してもらいました。
患部に局所麻酔(注射)をしてもらい、腫れ上がった紫ニキビの部分を1~2cmほど縦に切開するのですが・・・
麻酔をしているのにも関わらず、あまりにも症状がひどかったのか、切開された部分にとんでもなく激しい痛みを感じました。
その後、切開した傷口から血膿などを取り出してもらうのですが、指で強くつまんで無理に摘出するので、さらに激しい痛みを伴います。
つい先日も悪化したニキビ(紫ニキビ)の治療をするために切開してもらいましたが、本当に痛くてつらいと思います。
治すためには切開する必要があるので仕方ないのですが、切開したことによって傷跡が残ってしまう恐れもあるんですよね。
ニキビが治ったとしても、今度は傷跡を残さないようにするための治療を続けないといけないので、ニキビが悪化すると手間が非常にかかってしまいます。
なるべく痛い(つらい)思いをしないように、傷跡を残さないようにするためにも、ニキビの症状が少しでも悪化してしまったら、早い段階で皮膚科に行くことが重要だと実感しました。
軽度の赤ニキビ程度なら「ドルマイシン軟膏」を使用して、治療することも多いですが、症状が改善されないときはすぐに皮膚科へ行くようにしています。
ドルマイシン軟膏はヘルペスやカンジダを治せるの?
様々な感染症を引き起こすおもな病原体は、ウイルス、細菌、真菌(カビ)に分類されています。
結論から言うと、「ドルマイシン軟膏」が効果を発揮するのは細菌のみになります。
ウイルスや真菌(カビ)には効果が期待できず、安易に使用した場合は症状が治らないどころか、悪化してしまう恐れもあります。
「ドルマイシン軟膏」がどの病院や症状を治せる(治療薬として使える)のか解説します。
ドルマイシン軟膏の効能・効果
「ドルマイシン軟膏」の製造販売元であるゼリア新薬は、以下の効能・効果があるとしています。
効能・効果 |
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外傷・火傷等の化膿予防及び治療、膿痂疹(とびひ)、せつ、癰(よう)、 疔(ちょう)、毛嚢炎、湿疹、グラム陽性・陰性菌の単独及び混合感染による皮ふ疾患、化膿症、伝染性皮ふ炎、皮ふ潰瘍 |
したがって、細菌が原因となる病気や症状には効果がある反面、その他の病原体が原因の場合は、効果がほとんど期待できないと考えられます。
「ドルマイシン軟膏」の効果について、よりわかりやすいように表にまとめると
効果あり ○ | 効果なし × |
---|---|
ニキビ、おでき、毛嚢炎(毛包炎) | ヘルペス、カンジダ、白癬(水虫) |
上記のように分類することができます。
表に記載した症状(病気)については、よく質問や疑問で見かけたり、相談されることの多いものをピックアップしています。
また、「ドルマイシン軟膏」を使用することで、ヘルペス、カンジダ、水虫などを治せるのかという相談をよくされますが・・・
答えは「No」です。
これらの症状については、細菌が原因で起こるものではなく、ウイルスや真菌が原因で起こってしまう病気なので、残念ながら効果がありません。
市販薬で治療できる商品も販売されているので、軽度の症状なら病院に行かなくても治せることもありますが、なるべく専門医に相談することが望ましいです。
明らかに症状が重いときは、早急に病院へ行くことを強くお勧めします。
ドルマイシン軟膏はヘルペスに効果なし!
唇や性器など、様々な部位にできるヘルペスは、ウイルスが原因の感染症です。
このウイルスはヘルペスウイルスと呼ばれており、体に感染することで口唇ヘルペスや性器ヘルペスなどが起こってしまいます。
ヘルペスがよく発症する部位は唇や性器ですが、その他にも顔、角膜、手指、お尻などに感染することもあります。
『ドルマイシン軟膏』は細菌に対して効果を発揮するので、ウイルスが原因で発症するヘルペスは治すことができません。
初発(初めてヘルペスになった)の場合は、ヘルペスが発症した部位に関わらず、症状が悪化してしまうことも多いです。
そのため、自然に治るだろうと放置したり、市販薬で頑張って治そうとせずに、病院へ行くことが望ましいです。
また、ヘルペスウイルスに初めて感染したときは、免疫を持っていないため、高熱などの全身症状が出る場合もあります。
その反面、ヘルペスが再発してしまったとしても、ウイルスに対して免疫がすでに出来ているため、軽症で済むことが多いと言われています。
ヘルペスが再発したときは、「アクチビア」や「ヘルペエース」などの市販薬を使用することができます。
症状がひどくなければ、これらの市販薬でもヘルペスを治せるので、病院に行く手間がかからなくて済みます。
ただし、購入時に薬剤師からしっかりと説明(使い方や注意事項など)を受けて、用法用量を守って使用してください。
ドルマイシン軟膏はカンジダを治せない!
カンジダ症とは、カンジダ菌(真菌 / カビの一種)が原因となって起こる病気です。
感染症の一つでもあり、女性の膣に起きるケースが多く、その場合カンジダ膣炎または、膣カンジダ症と呼ばれています。
主な治療法としては、ビタミン剤と乳酸菌整腸薬の内服や抗真菌薬の塗り薬を使用します。
カンジダ菌は、健康な人の皮膚や粘膜にも常在し、何らかの要因によって体内のカンジダ菌が異常増殖すると、カンジダを発症します。
また、カンジダは一度治っても、ホルモンバランスの変化や免疫力の低下などの要因によりカンジダ菌が異常増殖すると、再発してしまうことの多い病気です。
カンジダが発症する原因は細菌ではなく、真菌によって起きてしまう病気なので、抗生物質の「ドルマイシン軟膏」を使用しても効果は期待できません。
真菌を治療するためには抗生物質ではなく、抗真菌薬を使用する必要があります。
安易に「ドルマイシン軟膏」を使用すると、効果が期待できないだけでなく、カンジダが悪化してしまう恐れもあるので注意してください。
再発したカンジダなら市販薬で治せる!
カンジダは他の性病と症状がよく似ているので、初めて感染した本人が見分けるのは難しい病気です。
そのため、初めてカンジダに感染してしまった疑いのあるときは、「病院に行くのが恥ずかしい・・・」などの理由で、自分で判断せずに医師の診断のもと治療しましょう。
市販薬※でカンジダの治療ができるのは、初発ではなく再発してしまった方のみになるので、購入するときは注意してください。
※カンジダに『ドルマイシン軟膏』を使用しても治療することはできません。
女性で膣カンジダが再発してしまったときは、「メディトリート」や「エンペシドL」などの市販薬を使用することで、病院に行かなくても治療できます。
また、男性で陰部にカンジダが再発した場合は、「ピロエースZ」や「ラミシール」などの殺真菌成分を配合している市販薬を使用すれば、自分で治療することが可能です。
女性・男性に関わらず、これらの市販薬を使用して再発したカンジダを自己治療する場合は、薬剤師に相談してください。
正しい使い方(使うタイミング)や使用上の注意、副作用などを確認した上で、用法用量を守って治療するようにしましょう。
水虫が起こる原因は?ドルマイシン軟膏で治せるの?
水虫は、カビの一種である白癬菌(真菌)が、皮膚の角質層に寄生することによって起こる皮膚の病気です。
また、白癬菌は足へ感染することがほとんどですが、足以外の皮膚にも白癬菌が感染することがあり、感染した体の部位によってその呼び名が変わります。
股間(陰部)に白癬菌が感染したものはいんきんたむしと呼ばれ、頭や手足、股部以外に感染したものはぜにたむしと呼ばれています。
水虫、いんきんたむし、ぜにたむしは、全て白癬菌(真菌)が原因で起こるため、殺真菌効果のある医薬品を使用することによって、各症状の改善が期待できます。
したがって、『ドルマイシン軟膏』の効果が期待できるのは、細菌が原因の病気(症状)に対してなので、治療することはできません。
市販薬で治すなら「ピロエース」や「ブテナロック」などを使用することで、水虫、いんきんたむし、ぜにたむしなどの症状を改善することができます。
ただし、症状がひどい(悪化した)場合は専門医に相談して、適切な処置をする必要があります。
ドルマイシン軟膏の副作用は?使い続けると恐ろしい事態に!
優れた抗菌作用があり、手軽に購入できることから、人気の高い「ドルマイシン軟膏」ですが、使い続けることによって恐ろしい事態を引き起こす可能性も・・・。
抗生剤はステロイド剤と比べて、安全性が高いので、重篤な副作用は起こりにくいとされています。
しかし、あまり知られていない厄介な副作用(リスク)があります。
「ドルマイシン軟膏」を正しく安心して使用するために、副作用やリスクについて解説します。
ドルマイシン軟膏の副作用と症状
「ドルマイシン軟膏」を使用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があります。
関係部位 | 症状 |
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皮膚 | 発疹・発赤、かゆみ、かぶれ |
まれにアナフィラキシーショック(重篤な症状)が起こることがあります。
下記の症状があらわれた場合は、直ぐに医師の診療を受けてください。
症状 |
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使用後すぐに皮膚のかゆみ、じんましん、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、息苦しさ、動悸、意識の混濁等があらわれる。 |
また、5~6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師又は薬剤師に相談しましょう。
ドルマイシン軟膏を長期間使い続けると・・・
『ドルマイシン軟膏』や「テラマイシン軟膏」などの抗生物質は、使い続けることで耐性菌が生成されてしまいます。
抗生物質を使い続けると、薬に対する細菌の抵抗力が高くなり、薬が効かなくなってしまうことがあります。
薬への耐性を持った細菌は薬剤耐性菌と呼ばれており、今まで治せていた症状が治せなくなってしまうのです。
抗生物質の効果や使い方について、「ニキビや吹き出物を治すのに使いたい!」という相談をよくされます。
『ドルマイシン軟膏』には、ニキビや吹き出物などの症状を改善する効果があるので、普通の方なら問題なく治療できます。
しかし、『ドルマイシン軟膏』などの抗生物質を普段から使い続けていると、薬剤耐性菌が生成されてしまいます。
薬剤耐性菌が生成されると、ニキビや吹き出物などの原因菌(細菌)の抵抗力が高くなり、薬の効果がなくなってしまうのです。
その結果、ニキビや吹き出物などが治せなくなるという、最悪の事態になる可能性があります。
また、耐性菌が一度生成されてしまうと、消すことが非常に困難になります。
薬の知識がない方は、よく効く(早く治る)からといって、抗生物質を安易に使いがちなので、使用するときは注意してください。
ドルマイシン軟膏についてのまとめ
『ドルマイシン軟膏』は、二種類の抗生物質を配合しているので、多くの菌に対して抗菌作用を示す塗り薬です。
化膿している傷や怪我などの二次感染を防ぎながら治療もできるので、人気が高い市販薬の一つです。
私もニキビや湿疹などが出来てしまったときに、『ドルマイシン軟膏』をよく使っています。
白ニキビや黒ニキビであれば、だいたい2~3日ほど塗り続けると効果があらわれて、ニキビが治っていくと思います。
炎症を起こして赤くなったニキビ(赤ニキビ)なら、一週間ほど塗り続ければ、治せることが多いと思います。
黄ニキビや紫ニキビなどの症状がひどいニキビの場合は、他のニキビよりも治すのが難しく、ニキビ跡が残りやすいので、病院に行くことがおすすめです。
また、『ドルマイシン軟膏』には、ニキビを治す効果はありますが、ニキビ跡(色素沈着・クレーター跡)を消す効果はありません。
色素沈着したニキビ跡なら、「アットノン」や「アトキュア」などの市販薬を根気よく続ければ消せることもあります。
処方薬では「ヒルドイド(ビーソフトテン)」を使い続けることで、色素沈着を消せるかもしれません。
私の場合は、半年~1年ほど期間がかかってしまいましたが、これらの「傷あと治療薬」を使用することによって、ニキビ跡(色素沈着)を消せました。
そのため、ニキビ跡が消えない(薄くならない)からといって、『ドルマイシン軟膏』を塗り続けないようにしてください。
ニキビや吹き出物などの気になる症状が改善されたら、治った時点で塗るのをやめましょう。
抗生物質を塗り続けることで、薬剤耐性菌(薬に対して抵抗力を持った菌)が生成されてしまう恐れがあります。
薬が効きにくくなってしまうので、今まで治っていたニキビや吹き出物などの症状が治らなくなってしまうかもしれません。
個人的には、薬剤耐性菌が生成されてしまうのが、『ドルマイシン軟膏』の副作用(リスク)の中で最も注意する必要があると思っています。
内服薬(飲み薬)の抗生物質に比べれば、塗り薬で薬剤耐性菌ができる確率はかなり低いとされています。
しかし、万が一のことを考えるとリスクをなるべく避けるためにも、頻繁に使ったりしない方が良いでしょう。
一週間ほど使用しても効果があらわれない(症状が悪化した)場合は、使用を中止して医師又は薬剤師に相談してください。
細菌の種類によっては、『ドルマイシン軟膏』の効果が期待できないので、早めに適切な治療をすることが望ましいです。