年齢を追うごとに気になってくる顔や身体のシミ。
化粧品やサプリでは効果があまり実感できず、皮膚科や美容クリニックでの本格的な治療を考える人も多いのではないでしょうか。
シミ治療というと、まず思い浮かぶのはレーザー治療かもしれません。
しかしシミには様々な種類があり、それぞれ適した治療法があります。
ここではシミの種類とそれぞれの特徴、一般的な治療法について説明します。
シミ(老人性色素斑)
日光性色素班とも呼ばれ、私たちが一般的に「シミ」と呼ぶものがこれに当たります。
主な原因は、長年にわたり紫外線を浴びることによるメラニン色素沈着です。
通常紫外線のダメージを防ぐために生成されたメラニンは、肌のターンオーバー(新陳代謝)により排出されますが、紫外線を浴び続けることでメラニンが過剰に増加したり、肌のターンオーバーが滞りメラニンが排出されなくなると、メラニンが沈着して老人性色素斑ができてしまうのです。
老人性色素斑は、紫外線が当たりやすい頬骨周辺や胸、手などに多くでき、大きさは大小さまざま、褐色で形状は盛り上がりがなく、平らな円形型がほとんどです。
このシミの治療としては、シミの程度により違ってきますが、色素レーザー治療、フォトフェイシャルなどの光治療、ビタミンA・Cの超音波導入やビタミンCのイオン導入、またハイドロキノン・トレチノインなどの外用薬による治療などが行われます。
レーザー治療では、メラニン色素に反応するレーザーを用い、メラニンを選択的に破壊します。
フォトフェイシャルなどの光治療では、有効な光を照射することでメラニンにダメージを与えるとともに、肌のターンオーバーを促進し、コラーゲンの再生を活性化させます。
外用薬のみの治療は、通院期間、治療期間が長くかかるため、可能であればレーザー治療などの物理的療法をすすめるクリニックが多いでしょう。
肝斑
30~40代女性によく見られ、両頬に左右対称に出ることの多い淡いシミです。
高齢になってからの発症はほとんど見られません。
肝斑は妊娠やピルの服用などによって発症したり、悪化したりすることから、女性ホルモンのバランスの乱れが原因といわれています。
またストレス、洗顔やメイクなどの外的刺激など、その原因は多岐にわたるとも考えられています。
肝斑の治療の場合、一般的な光治療やレーザー治療ではシミが濃くなるリスクがあるので、注意が必要です。
トラネキサム酸などの内服やハイドロキノンなどの外用薬、点滴治療やビタミン導入などが中心となりますが、最近では「レーザートーニング」というより刺激の弱いレーザー治療を行っているところもあります。
肝斑は他のシミと併発していることも多く、その場合にはまず肝斑を先に治療します。
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
成人になってから頬や額の両側に左右対称に現れるシミで、大きさは1~3mm程度、やや青み、灰色を帯びています。
真皮内にメラノサイト(メラニンを作る細胞)が増えることが原因といわれています。
両側性遅発性太田母斑様色素斑とも呼ばれ、正確には青あざに分類されますが、生まれつきある先天性のあざとは違い、後天的に発現するあざです。
肝斑との区別が難しく、専門知識を持った経験豊富なクリニックに相談した方がよいでしょう。
ADMと肝斑を同時に発症している場合もあり、その場合はまず肝斑の治療を優先します。
主な治療法はレーザー治療ですが、治療後すぐに効果の見られる老人性色素斑とは違い、治療してからシミが薄くなるまでには数ヶ月かかります。
またレーザー照射を複数回行う必要がある場合もあります。
そばかす(雀卵斑)
小さい頃から女性に現れることの多い、茶褐色の小さなシミです。
大きさは1~5mmで、鼻を中心に広範囲に散らばっていることが多いです。
見た目がスズメの卵の模様に似ていることから、雀卵斑(じゃくらんはん)とも呼ばれています。
そばかすの原因は遺伝による影響が大きいとされており、身体の色素が薄い人に多くできます。
またそばかすには後天的なものもあり、その原因は紫外線、ストレス、ホルモンバランスの乱れ、不適切なスキンケア、栄養不足などによる肌のターンオーバーの滞りなどが考えられます。
光治療やレーザー治療が主な治療法です。
脂漏性角化症(老人性いぼ)
中年以降の男女に現れるいぼ状に盛り上がった茶色いシミです。
紫外線による肌の老化が原因と考えられており、角質が厚くなって膨らんでいます。
老人性色素斑から脂漏性角化症になることもよくあり、背中や腕、脚など顔以外にもできるのが特徴です。
治療法は炭酸ガスレーザーによる切除が適しているといわれています。
超低温の液体窒素を使用した冷凍凝固術を行っているクリニックもあり、この場合は保険が適用されます。
炎症後色素沈着(ニキビ跡)
ニキビやかぶれ、傷など、皮膚に炎症が起きた後にできるシミのことです。
本来は肌のターンオーバーにより消えるものが、炎症が慢性化しているなど、何らかの原因でターンオーバーが滞り、メラニンが排出されないことでシミとなります。
そのままにしても時間の経過により消失したり薄くなることがほとんどですが、早く治したい場合には、肌のターンオーバーを促すための治療を行います。
ビタミンCイオン導入、ケミカルピーリング、ビタミンA・Cの超音波導入、ビタミンやハイドロキノンの外用薬などの治療法があります。
まずは信頼できるクリニックに相談
いかがでしたか。
一口にシミと言っても、シミには様々な種類があり、それぞれ治療法が異なるということがお分かりになったでしょうか。
治療法を誤ると、シミが薄くなるどころか、かえって悪化することになりかねません。
最近ではシミの治療法も多岐にわたり、料金もクリニックによって様々です。
まずは信頼できるクリニックを見つけ、シミの種類と効果的な治療法を診断してもらい、納得のいくシミ治療をしたいものですね。