女性の肌の悩みでも多いのが、二の腕や太もも、お尻などに出来る小さなブツブツです。
薄着になる季節が近づくと、このようなブツブツが気になってしまう人もいるかもしれませんね。
二の腕などに現れるブツブツは、病院で診察を受けると毛孔性苔癬や毛孔性角化症と診断されるケースが多いです。
今回は、毛孔性苔癬の原因や対処法などを取り上げて解説していきます。
毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)とは?
毛穴の表面に小さなブツブツが出来る毛孔性苔癬は、毛孔性角化症の1種です。
毛孔性角化症は、皮膚の角質が角化にともなって盛り上がり、毛穴の部分に硬いブツブツが出来る皮膚トラブル。
毛孔性苔癬は、10代では3割から4割ほどの人に見られると言われており、ニキビやアレルギー性皮膚炎と同様にポピュラーな皮膚疾患の1つです。
毛孔性苔癬の主な症状
毛孔性苔癬は、1ミリから3ミリほどの丘疹が毛穴の部分に現れるのが特徴です。
丘疹は皮膚と同じ色をしていることが多く、手で触れると症状が現れている部分にブツブツとした感触が感じられます。
丘疹は、茶褐色であったり赤みを帯びていたりするケースもあります。
毛孔性苔癬の場合、通常は痛みやかゆみをともなうことはありませんが、乾燥や炎症が生じると、丘疹の色が変わったりかゆみなどの不快な症状が見られたりすることもあります。
毛孔性苔癬と似た症状を持つ皮膚疾患の見分け方
皮膚の病気には、毛孔性苔癬と似た症状が現れるものがいくつかあります。
例えば、以下のような皮膚疾患は毛孔性苔癬と症状が似ていることがあります。
ここでは見分け方を簡単に紹介しましょう。
ニキビ
ニキビは、皮脂やアクネ菌が原因となってブツブツが生じます。
ニキビと毛孔性苔癬を見分けるポイントは、かゆみや痛み、炎症などがあるかどうかです。
また、症状が現れた場所やブツブツの範囲などもチェックポイントです。
マラセチア毛包炎
マラセチア毛包炎は、マラセチア菌が原因で生じる皮膚の病気です。
マラセチア毛包炎も毛穴の部分にブツブツが現れますが、この皮膚疾患の場合はブツブツが赤色をしており、強いかゆみをともないます。
毛孔性苔癬と見分けるときは、ブツブツの色やかゆみがあるかどうかをチェックしましょう。
光線過敏症
光線過敏症は、太陽の光を浴びることでアレルギーの症状が現れます。
皮膚にブツブツが生じるなど、毛孔性苔癬と似たような症状が見られることもありますが、光線過敏症は紫外線を浴びた後に症状が出てくる点が毛孔性苔癬と違います。
ブツブツの症状がいつ現れるかは、症状を見分けるときのポイントになるでしょう。
色素沈着
一般的な色素沈着は、毛孔性苔癬のような丘疹をともないません。
ブツブツとした皮膚の盛り上がりがあるかどうかは、毛孔性苔癬と見分ける際にチェックしておきたいポイントです。
毛孔性苔癬ができやすい部位
二の腕やお尻、太ももなどは、毛孔性苔癬がとくに現れやすい部位です。
また、この皮膚トラブルは、体の裏側である背中や腰、ふくらはぎなどにも生じることがあります。
体を洗う際に手が届きにくい場所は、肌のターンオーバーが乱れやすいのが常。
角質が溜まりやすい部分や皮膚がデリケートな部分などは、一般的に毛孔性苔癬ができやすい場所と言えます。
毛孔性苔癬を発症しやすい人はどのような人?
毛孔性苔癬の症状が現れやすいのは、主に思春期の人です。
毛孔性苔癬は誰にでも起こり得る皮膚トラブルですが、肥満体型の人やアトピー性皮膚炎の人、尋常性魚鱗癬の症状がある人などは、とくに発症する率が高いと言われています。
この皮膚疾患は遺伝との関連も指摘されており、症状を抱えている家族がいる人も発症率が高くなります。
毛孔性苔癬の原因
毛孔性苔癬の原因は、毛穴の部分に詰まってしまった角質です。
肌の基底細胞は、徐々に表面に押し上げられて角質になります。
このような角化のスピードが速すぎると、毛穴の部分に角質が詰まって毛孔性苔癬になってしまうことがあります。
角質を構成しているのが、ケラチンです。
ケラチンはタンパク質の1種で、触るとやや硬さがあるのが特徴です。
こういったケラチンが毛穴の表面に溜まり、部分的に盛り上がってしまうことで毛孔性苔癬特有のブツブツが現れてきます。
なぜケラチンが毛穴をふさいでしまうのかは、明確に分かっていません。
毛孔性苔癬になったときの対処法
できてしまった毛孔性苔癬のブツブツをできるだけ早く治したいときには、次のようなアプローチを試してみましょう。
溜まった角質を取り除くことやターンオーバーを正常にすること、皮膚に刺激を与えないことなどが対処をするうえでのポイントになります。
フルーツ酸ピーリングで余分な角質を取り除く
フルーツ酸には、角質を柔らかくする作用があります。
フルーツ酸入りのピーリングジェルなどを適度に使用すると、不要な角質を取り除くことができます。
入浴後の保湿ケアを入念に行う
肌のターンオーバーは、乾燥すると乱れやすくなります。
ターンオーバーを整えるためにも、入浴後の保湿ケアを徹底的に行うのがベストです。
普段からしっかりと紫外線対策をする
肌に刺激を与える紫外線も、ターンオーバーを乱す一因です。
紫外線は、色素沈着の原因になることもあるため要注意。
皮膚を露出しない服を着て紫外線対策をするのも、症状を悪化させないための方法になるでしょう。
皮膚に刺激を与える素材の衣類は避ける
皮膚に刺激を与える化学繊維の洋服を避けることも、対処法の1つです。
化学繊維の刺激は、ターンオーバーにも悪影響を及ぼすことがあります。
質の良い睡眠をとる
質の良い睡眠をとって成長ホルモンの分泌を促すと、ターンオーバーにも良い影響が期待できます。
尿素が入った薬を用いて治療する
市販されている尿素入りの薬で治療をするのも1つの方法です。
尿素には、肌の角質を柔らかくする作用があります。
ヨクイニンを普段の生活に取り入れる
いぼの除去や美肌対策に古くから使われているヨクイニンを、生活に取り入れるのも対処法になるでしょう。
ヨクイニンのコスメや漢方薬は、広く市販されています。
皮膚科で行われる毛孔性苔癬の治療法
毛孔性苔癬は、病院で治療することも可能です。
医療機関の皮膚科で行われている毛孔性苔癬には、複数のアプローチがあります。
塗り薬
1つ目は、塗り薬による治療です。
塗り薬には、尿素のクリームやサリチル酸入りの軟膏などが使われることが多いです。
必要に応じて、保湿用のクリームやビタミンAの外用薬なども処方されます。
尿素やサリチル酸には角質を柔らかくする作用があることから、成分が含まれた薬は毛孔性苔癬の治療によく使われます。
レーザー
2つ目の治療法は、レーザーを使ったアプローチです。
真皮層にも作用を届けられるところは、レーザーならではのメリットです。
レーザーで皮膚のターンオーバーの改善を促すと、より早く症状が改善する可能性があります。
ケミカルピーリング
3つ目のアプローチは、ケミカルピーリングです。
美容皮膚科などでは、施術の1つに皮膚の角質を取り除くケミカルピーリングを設けていることがありますよね。
肌の角質を除去することでブツブツを目立たなくしていくのが、この治療法です。
ダーマローラー
4つ目の治療法は、ダーマローラーによるアプローチ。
このアプローチでは、針の刺激でコラーゲンを増やし、ターンオーバーを活性化することでブツブツを治していきます。
毛孔性苔癬の改善には規則正しい生活を送ることが大切
毛孔性苔癬は放置しておいてもとくに問題がない皮膚トラブルですが、ブツブツがコンプレックスになっているときは、やはり何らかの手を打ったほうがよいでしょう。
ここで取り上げた原因や対処法、治療法などを参考にすれば、問題の解決方法が見つかるかもしれません。
自分に合ったアプローチを見つけて、適切なケアをしていきましょう。