見た目は似ている粉瘤とニキビ。
一見するだけでは見分けられないこともあります。
けれど、このふたつは症状も治療法もまったく違うものです。
特に粉瘤は放っていくと悪化してしまうこともあり、早めの対処が必要になってきます。
ここでは、粉瘤とニキビの見分け方と治療について解説していきます。
ひょっとしたら、このできものは粉瘤かも?と思った方は、見分けるときの参考にしてみてください。
そもそも粉瘤とニキビはどう違うの?
粉瘤とニキビは、腫瘍なのか炎症なのかという点で大きく違います。
粉瘤は、アテローム(アテローマ)や表皮のう腫とも言われており、皮下に袋ができる良性の腫瘍のことです。
粉瘤は本来皮膚から剥がれていくはずの角質(垢)や皮脂が剥がれ落ちず、皮下の袋にたまっていきます。
そのようにしてできていく腫瘍の総称が「粉瘤」です。
粉瘤は細菌感染を起こしていない状態では痛みがないケースも多いため、放置されていることもあります。
粉瘤はある症例では、ヒトパピローマ(乳頭腫)ウイルスの感染や外傷が原因であることが判明しています。
外傷では表皮の成分が傷の中に埋め込まれてしまうことで、粉瘤が発生するようです。
特に、粉瘤が発生しやすい人の場合には、生まれながらの体質が原因のこともあります。
しかし、完全に原因が判明しているわけではないようです。
一方でニキビは、毛穴がつまって起こる炎症のことをいいます。
別名、面皰(めんぽう)。
分泌された皮脂が毛穴につまり、毛穴の中で皮脂がたまってしまうことで、アクネ菌が増殖。
ニキビができてしまいます。
毛穴が閉じているときにできるのが白ニキビ、開いているときにできるのが黒ニキビです。
菌がさらに繁殖していくと、赤ニキビ(丘疹)。
化膿すると黄ニキビ(膿疱)になります。
毛穴の周りに炎症が広がってしまうことで、毛穴の中に膿や血液がたまっていくと、しこり状のしこりニキビ(のう種・硬結)になってしまうのです。
しこり状のニキビでは炎症による痛みが強く出る傾向にあり、治ってもニキビ跡が残ることもあります。
粉瘤もニキビも、全身どこにでもできる可能性があるできものです。
しかし粉瘤が老若男女問わずできるものであるのに対し、ニキビは主に皮脂の分泌の盛んな、10代~30代の年代にできやすい傾向にあります。
ニキビは毛穴があるところであれば、どこにでもできる可能性がありますが、特に脂漏のある部位、顔面や上半身の背面部、胸部などにできやすいようです。
粉瘤とニキビの見分け方
粉瘤とニキビの代表的な見分け方としては、大きさや黒い点の有無、触り心地や臭いの有無、年齢などがあげられます。
まず、大きさですが、ニキビは悪化してしまってもその大きさは数ミリ程度です。
一方で粉瘤は悪化するにつれ、数センチ、10センチなど大きくなってしまいます。
一見ニキビのような膨らみであっても、時間が経つにつれあまりにも大きくなっていくのであれば、粉瘤が疑われるでしょう。
粉瘤を観察しますと、開口部に黒い点が見つかります。
この点は「へそ」とも呼ばれているものです。
まだ炎症を起こしていない粉瘤であれば、見つけやすいかもしれません。
ただし、中心部に黒い点のある黒ニキビとは少し間違えやすいこともあるため、その他の見分け方とあわせて判断しましょう。
また、粉瘤とニキビでは触り心地にも、違いがあります。
粉瘤は皮下に嚢胞(のうほう)と呼ばれる袋状の組織の中に、老廃物がどんどん蓄積されていくものです。
そうしていくうちに、触るとつまめるほどのしこりとなってしまいます。
ニキビでは、悪化してもつまめるほどまでのしこりにはならないため、触ることでも違いが分かるでしょう。
さらに、粉瘤では「臭い」も見分ける方法になります。
粉瘤は、悪化することで嚢胞の中にたまった嚢廃物が腐り、異臭を発するのです。
ニキビは基本的に臭いはしないため、嗅いでみて、異臭がするようであれば、粉瘤の可能性があります。
最後に、ご自身の年齢も見分け方の参考になるでしょう。
主に、ニキビができやすいのは、皮脂の分泌の盛んな年齢といわれている10代~30代です。
それ以外の年齢の方であれば、粉瘤の可能性が疑われます。
皮脂の分泌には個人差があるため、一概には言うことはできませんが、参考にはなるのではないでしょうか。
粉瘤・ニキビの治療法
粉瘤とニキビではその治療法も異なります。
粉瘤は悪化した場合には外科手術が必要です。
ただ嚢胞の中で細菌感染をしてない粉瘤の場合には症状がありません。
そのため、小さい粉瘤であれば急いで治療しようと思わない人もいるようです。
一方で、あまりに粉瘤が大きくなってくる場合には、感染を起こす可能性があるため、手術で切り取ることになります。
切開して内部の膿を取りだしたり、腫瘍そのものを袋ごと切除したりする手術を行います。
注意しなければいけないのは、粉瘤がセルフケアでは改善しないことです。
自然治癒もしませんし、治す薬もないため、もしも粉瘤が疑われる場合には、なるべく早めに皮膚科を受診することが望ましいでしょう。
一方で、ニキビの場合には、薬での治療がメインになります。
ニキビの外用薬は種類も豊富です。
皮膚科などの受診した場合には、肌の状態をみながら、症状に適した外用薬が処方されるでしょう。
あまりにも炎症が強い場合には抗生物質、体質改善が必要な場合には漢方薬の処方なども行われる場合があります。
また、症状の軽いニキビであれば、セルフケアでの改善も見込まれます。
粉瘤とニキビの違い・見分け方を知って、適した治療法をとろう!
粉瘤とニキビは原因も症状も違います。
粉瘤は皮下にできる腫瘍で、ニキビはアクネ菌による炎症によってできるものです。
それぞれの症状や特徴から、見分け方もいくつかありますので、見分けて適した治療法をとりましょう。
特に粉瘤は自然治癒が見込めないため、遅かれ早かれ医療機関での治療が必要になります。
判断はつかないようであれば早めに受診してみましょう。
粉瘤、ニキビどちらであっても症状の悪化を防ぐことができます。