「粉瘤(ふんりゅう)」という疾患のことを聞いたことがあるでしょうか。
小さな子どもから大人まで、誰にでもかかる可能性がある粉瘤ですが、意外にもその実態は知られていないと言われています。
どういった症状で、どのような治療をしていくのか知っておくと、もし自分が粉瘤になってしまったときにも安心して対処することが出来ます。
毛が生えるところならどこにでもできる
顔や首、背中などに押すとやわらかいできものが出来ている人はいないでしょうか。
大きさが1~2cmほどあり、触ると中に塊のようなものがあることが分かります。
強く押すと、中から白っぽい膿のようなものが出てくることもあり、これらは強い臭いを持っているのが特徴です。
こうした皮膚に出来るできものを粉瘤と言います。
顔や首、背中などに比較的よくできると言われていますが、実は全身どこにでも出来る可能性はあります。
古くなった角質や皮脂が、皮膚の下に出来てしまった、嚢腫と呼ばれる袋の中に閉じ込められて起こる疾患です。
なぜ皮膚の下に嚢腫が出来てしまうのかという原因はまだわかっていないのですが、体を毎日洗って清潔にしておいても出来てしまうのが粉瘤の特徴となります。
また、小学生の子が背中に粉瘤ができ、ランドセルを毎日背負うことでどんどん粉瘤が大きくなってしまったというケースもあり、年を取っている方がなりやすいという疾患でもないのです。
初めは気づかない人も多い
粉瘤は、小さなうちは痛みやかゆみなどもなく、色も肌と同じであるため気付かない人も多くいます。
もし気づいたとしても、特に目立つわけではなく、生活に支障がないために放置しておくことも少なくありません。
粉瘤は良性の腫瘍であるために、小さなうちであれば放置しておいても何の問題もないのです。
それでも、なるべくなら早いうちに治療をしておいた方がいいとされています。
粉瘤の治療方法は、基本的には手術による切除しか方法がありません。
そのため、小さな粉瘤であれば手術痕も小さくて済み、見た目のダメージが少なくなるからです。
粉瘤を放置しておいた時に起こること
良性腫瘍であるからと粉瘤を放置しておくと、どういったことが起こる可能性があるのでしょうか。
まず、臭いの問題です。
粉瘤が小さなうちは、中身が飛び出してくるという心配はあまりありません。
しかし、粉瘤が大きくなると、皮膚が破れて中にある白っぽい膿状のものが飛び出してくることがあります。
膿状となっている物質は古くなった角質や皮脂ですが、炎症を起こしているために非常に強い臭いを発します。
中に溜まったものをキレイに取り除いてしまえば臭いが軽減されますが、今度は痛みに悩まされることとなるのです。
赤く腫れあがって痛みが出る粉瘤は、炎症性粉瘤と言われていて炎症が治まるまで長く痛みが続くこととなります。
このように炎症や痛みが出てしまうと、治療には抗菌剤や鎮痛剤が必要となるのです。
放置することで、すべての粉瘤が炎症性粉瘤になるわけではありませんが、きちんと治療しておかないと誰でも炎症性粉瘤になる可能性はあります。
粉瘤の治療法である手術とは?
粉瘤の治療方法は手術しかないと聞くと、やはり戸惑う人は少なくありません。
しかし粉瘤の手術というのは、特に大変なものではないのです。
出来ている場所や大きさにもよりますが、一般的な粉瘤の手術は日帰りで行います。
10~20分程度で終わってしまう簡単な手術で、麻酔も局所麻酔で行うことがほとんどです。
術式としては、まず粉瘤のまわりに局所麻酔を数か所注射します。
次に、粉瘤を膿疱ごと切除するのです。
開いた傷口を縫合すれば手術は終了です。
一度取ってしまえば再発するということもなく、傷口さえ塞がれば治療は完了します。
当然、縫合部分が小さい方が傷跡が目立ちにくくなるため、粉瘤の手術は小さいうちにやっておいた方がいいというわけです。
もし、炎症性粉瘤となっている場合は、膿疱を切除したあとも炎症が治まるまでは治療を続けなければならず、治療期間は長引くこととなります。
手術というと治療費が気になるかもしれません。
粉瘤の手術は皮膚科や形成外科で行うことが可能で、保険適用となります。
初診料と手術代、それに痛み止めなどの処方薬をあわせたとしても、10,000~15,000円ほどで収まります。
民間の医療保険などに加入していれば、カバーされる対象となり、さらに治療費の負担は少なくなるはずです。
もし顔に出来てしまった場合の治療方法
粉瘤は身体中どこにでも出来る可能性はあります。
つまり、顔の目立つ部分に出来てしまうこともあるのです。
もし小さいうちであれば、手術によって切除しても、傷跡が目立ちにくいようにすることは可能です。
しかし大きくなるまで粉瘤を放置してしまった場合、手術による切除を行うと、傷跡が大きく残ってしまうこともあります。
この場合は、小さく切開した穴から膿だけを取り出し、膿疱を小さくするという治療方法が取られることもあります。
ただし、粉瘤自体は膿疱ごと取り除かなければ完治はしないため、定期的に皮膚科に通い、膿を取り除いてもらわなければなりません。
もし粉瘤を見つけたのであれば、なるべく早く皮膚科か形成外科を受診して治療することがいいのです。
気になる粉瘤を見つけたら早めの治療がベスト
粉瘤は、小さい子から大人まで身体中どこにでもできる可能性はあります。
皮膚の下に膿疱という袋が出来、そこに古い角質や皮脂がたまってしまうのが原因です。
良性のために放置しておく人も多いですが、大きくなって炎症を起こしてしまうと、治療の傷跡も大きく残ってしまいます。
粉瘤の治療方法は手術で取り除くことです。
小さな粉瘤であれば傷跡はほとんど目立たないので、なるべく早く皮膚科を受診するようにしましょう。