花粉によるつらい鼻づまり、鼻水、くしゃみにすぐれた効果を発揮する「ナザールαAR0.1%」が2016年1月27日(水)に「指定第2類医薬品」となって、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどで新発売しました。
「ナザールαAR0.1%」の効能・効果や配合されている成分などについて解説していきます。
【花粉によるつらい鼻づまり、鼻水、くしゃみに】ナザールαAR0.1%
「ナザールαAR0.1%<季節性アレルギー専用>」は、花粉による鼻水・鼻づまりに効く、眠くなりにくい鼻炎薬(点鼻薬)です。
ベクロメタゾンプロピオン酸エステルの働きにより鼻腔内のうっ血や炎症を抑え、鼻の通りをよくします。
佐藤製薬が独自に製剤検討・開発及び臨床試験を行い、スイッチOTC医薬品※として承認を取得したため、2010年12月7日(火)から「ナザールAR」を一般用医薬品(第1類医薬品)として販売していました。
また、一般用医薬品として承認を取得するのも「ナザールAR」が初めてです。
2016年1月27日(水)に「ナザールαAR0.1%」となって新発売され、第1類医薬品から「指定第2類医薬品」にリスク区分も変更されたため、薬剤師が不在時でも購入できるようになりました。
※スイッチOTC医薬品
医療用医薬品の成分として、十分な臨床実績に裏打ちされた安全性と効果のデータが整っており、一般用医薬品としての使用を認められた成分を含む一般用医薬品を意味します。
効能・効果
花粉による季節性アレルギーの次のような症状の緩和
鼻づまり、鼻みず(鼻汁過多)、くしゃみ
用法・用量
通常、次の量を左右の鼻腔内に噴霧する。
(症状があらわれた時、なるべく空腹時をさける。)
- 成人(18歳以上):左右の鼻腔内にそれぞれ1噴霧ずつ/2回(朝・夕)
- 18歳未満:×使用しないこと
[1日最大使用回数]
4回(8噴霧)まで。
症状が改善すれば使用回数を減らしてください。
(症状が再び悪化した場合は、使用回数を増やしてもかまいません。)
1年間に3ヵ月間を超えて使用しないでください。
[用法・用量に関連する注意]
- 本剤は、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(ステロイド)を配合していますので、過量に使用したり、間違った使用法で使用すると、副作用が起こりやすくなる場合がありますので、定められた用法・用量を厳守してください。
- 点鼻用にのみ使用してください。
- 使用時に味がした場合には、口をゆすいでください。
成分・分量(100g中)・働き
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル:0.05g
アレルギーや炎症をおさえる強い作用があり、不快な鼻炎症状を改善する。
添加物
セルロース、カルメロースNa、プロピレングリコール、グリセリン、ポリソルベート80、ベンザルコニウム塩化物、クエン酸、香料(l-メントールを含む)
ベクロメタゾンプロピオン酸エステルとは?
「ナザールαAR0.1%」の有効成分ベクロメタゾンプロピオン酸エステルはステロイド系抗炎症薬の一種で、アレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎に用います。
グラクソ・スミスクライン株式会社が医療用医薬品(リノコートパウダースプレー25μg、リノコートカプセル50μg等)として国内で販売していた点鼻ステロイド薬の成分です。
ステロイドにはアレルギーや炎症をおさえる強い作用があり、不快な鼻炎症状を改善します。
一般的な抗アレルギー薬が効きにくい鼻づまりに対しても効果が高いです。
比較的速効性で、1~3日で良い効果が出てきます。
また、鼻粘膜に直接作用するので、全身性の副作用はほとんどありません。
病院では症状がやや重いときに処方されることが多く、特に鼻づまりのひどい鼻閉型に好んで用いられます。
包装単位・メーカー希望小売価格
10ml/1,880円(税抜)
ナザールαAR0.1%の特長
[花粉によるアレルギー症状を元から抑える]
配合成分のベクロメタゾンプロピオン酸エステルが、アレルギー症状を引き起こす化学物質を放出する細胞の働きを抑えつつ、鼻の粘膜で起こっている炎症を強力に鎮めたり、炎症を誘発する細胞が集まるのを防ぐことで季節性のアレルギー症状を改善します。
[アンテドラッグタイプのステロイド配合]
アンテドラッグステロイドとは、患部でよく効いた後、体内で作用の弱い物質に分解されるステロイドです。
[朝夕1日2回の使用で持続的に効果を発揮する]
症状により1日1~4回に増減(両鼻腔に1回1度ずつ)します。
[眠くなる成分(抗ヒスタミン成分)は入っていない]
眠くなりにくい鼻炎薬なので、お仕事中や外出先でも眠気を気にせず使用できます。
[花粉の飛散ピークに合わせて、1年間に3ヵ月まで使用できる]
用法用量を守って正しくお使いください。
[一定量の薬液が噴霧できるスプレー]
一度スプレーした液は、容器内に逆流しないので衛生的です。
使用方法
- 使う前にやさしく鼻をかんでください。(あまりつよくかまないでください。)
- 容器を軽く振ってから、キャップをはずし、図のように容器を持ってください。(使い初めは、薬液が霧状に出るまで、数回空押ししてください。)
- ノズルの先を軽く鼻腔に入れ、1回に1度ずつ薬液を噴霧してください。もう一方の鼻腔でも同じ操作を繰り返してください。
- ご使用後は容器を清潔に保つため、鼻に接する部分をふいてから、キャップをしてください。
※鼻孔が化膿している人は使用できません。
使用上の注意
[使用にあたっての注意]
- ご使用前には鼻をかみ、鼻腔のとおりをよくしておいてください。
- 使う前に容器を軽く振ってからキャップをはずしてください。
- 容器を横にして使用しますと薬液が霧状になりませんので、必ず垂直にしてお使いください。
- 容器の先が鼻汁などに触れると薬液が汚染されることがありますので注意してください。
- ノズルが鼻中隔※に向かないよう、鼻腔内にまっすぐに入れて噴霧してください。特に右利きの方では右の鼻中隔に、左利きの方は左の鼻中隔に向きやすいため注意してください。
- ご使用後はノズル付近をティッシュペーパーなどでふいて、清潔に保ってください。
- ノズルの先端を針などで突くのは、折れたとき大変危険ですので、絶対におやめください。
※鼻中隔・鼻の穴の中にある鼻腔を左右に仕切る隔壁
[してはいけないこと]
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなります)
1.次の人は使用しないでください。
- 全身の真菌症、結核性疾患、高血圧、糖尿病、反復性鼻出血、ぜんそく、緑内障、感染症の診断を受けた人
- 鼻孔が化膿(毛根の感染によって、膿(うみ)がたまり、痛みやはれを伴う)している人
- 本剤又はベクロメタゾンプロピオン酸エステル製剤によりアレルギー症状を起こしたことがある人
- 18歳未満の人
- 妊婦又は妊娠していると思われる人
- ステロイド点鼻薬を過去1年のうち3ヵ月間以上使用した人
2.本剤は、他のステロイド点鼻薬の使用期間も合わせて、1年間に3ヵ月を超えて使用しないでください
(3ヵ月を超えた使用が必要な場合には、他の疾患の可能性がありますので耳鼻咽喉科専門医にご相談ください)
3.本剤の使用後は、ステロイド点鼻薬を使用しないでください。
ただし、医師から処方された場合は、その指示に従ってください
[相談すること]
1.次の人は使用前に医師、薬剤師又は登録販売者にご相談ください。
- 医師の治療を受けている人
- 減感作療法等、アレルギーの治療を受けている人
- 頭、額や頬などに痛みがあり、黄色や緑色の鼻汁のある人(感染性副鼻腔炎)
- 授乳中の人
- 薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人
- 季節性アレルギーによる症状か他の原因による症状かはっきりしない人
- 高齢者
- 肥厚性鼻炎※1や鼻たけ(鼻ポリープ)※2の人
- 長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている人
※1:鼻のまわりが重苦しく、少量の粘液性又は黄色や緑色の鼻汁がでる。
※2:鼻づまり、鼻声、鼻の奥の異物感などがある。
2.使用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性がありますので、直ちに使用を中止し、添付文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者にご相談ください
[関係部位:症状]
- 鼻:鼻出血、鼻の中のかさぶた、刺激感、かゆみ、乾燥感、不快感、くしゃみの発作、嗅覚異常、化膿症状(毛根の感染によって、膿(うみ)がたまり、痛みやはれを伴う)
- のど:刺激感、異物感、化膿症状(感染によって、のどの奥に白っぽい膿(うみ)がたまり、痛みやはれを伴う)
- 皮膚:発疹・発赤、かゆみ、はれ
- 精神神経系:頭痛、めまい
- 消化器:はきけ・嘔吐、下痢、食欲不振
- その他:ぜんそくの発現、目の痛み、目のかすみ、動悸、血圧上昇
まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けてください。
[症状の名称:症状]
ショック(アナフィラキシー):使用後すぐに、皮膚のかゆみ、じんましん、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、息苦しさ、動悸、意識の混濁等があらわれる。
3.使用後、頭、額や頬などに痛みがでたり、鼻汁が黄色や緑色などを呈し、通常と異なる症状があらわれた場合は、直ちに使用を中止し、添付文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者にご相談ください
(他の疾患が併発していることがあります。)
4.1週間位※使用しても症状の改善がみられない場合は使用を中止し、添付文書を持って、医師、薬剤師又は登録販売者にご相談ください。
※1日最大4回(8噴霧まで)
ナザールαAR0.1%のよくある質問(Q&A)
【Q1】妊娠中ですが、このお薬を使用しても良いですか?
【A1】有効成分は、動物実験で、高用量の催奇形作用の報告がされており、胎児や母体への影響する可能性が考えられます。
ご使用はお控えいただき、医療機関へご相談ください。
【Q2】授乳中に使用しても良いですか?
【A2】有効成分の母乳への移行は、明らかになっていませんが、慎重を期すため使用前に医師または薬剤師にご相談ください。
【Q3】なぜ18歳未満の人は使用してはいけないのですか?
【A3】医師が介在しないOTC医薬品の使用において、誤用や過量の投与でも相対的に安全性を担保できる設定にしています。
小児や18歳未満の青年の場合、発育の個人差が大きく、自己判断による使用は思わぬ事故を起こす危険性もあることから、18歳未満の人の使用を禁止しています。
【Q4】1年間に3ヵ月以上使用できないのはなぜですか?3ヵ月使ってまだ症状がおさまらないときはどうしたらよいですか?
【A4】ナザールαAR0.1%<季節性アレルギー専用>は、季節性アレルギー専用の点鼻薬です。
漫然と長期に使用されることを防ぐため、安全性を考慮し、「1年間に3ヵ月以内」の使用期間の制限を設けています。
1年間に3ヵ月使用後は、ステロイド成分を含有しない点鼻薬をお使いいただくか、引き続きステロイド点鼻薬を使用したい場合には医師にご相談ください。
【Q5】風邪の時の鼻水、鼻づまりにも効きますか?
【A5】ナザールαAR0.1%<季節性アレルギー専用>は、花粉が原因となる季節性アレルギーの症状に使用するものであり、主にウイルスの感染によって発症するかぜの症状には効果がないため、かぜ薬または鼻かぜのお薬をご使用ください。
【Q6】花粉症なのですが、花粉の飛散が少なく、鼻の症状が出る前に予防的に使えますか?
【A6】予防的使用は認められておりません。
症状が現れたら、またはその兆しがあらわれた時に、早めにご使用ください。
【Q7】花粉症なのですが、花粉の飛散が少なく、症状が軽い時に使用しても良いですか?
【A7】ご使用いただけます。
最初は1日2回でお使いいただき、症状が軽くなった場合には、使用回数を1日1回に減らしてご使用ください。
【Q8】開封後の使用期限はどれくらいですか?
【A8】保管及び取扱い上の注意をお守りの上で、開封してから6ヵ月間を目安に使用できます。
【Q9】経口の鼻炎用内服薬(またはアレルギー薬)を服用していますが、本剤を使用しても良いですか?
【A9】併用は可能です。
【Q10】1瓶で何回ぐらい使えますか? また1本で何日くらい使用できますか?
【A10】初回使用時には規格噴霧量に達するまで数回の予備噴霧が必要ですが、最大用法の1日4回左右の鼻腔内にそれぞれ1回ずつ噴霧した場合、約3週間使用することができます。
花粉症・アレルギー性鼻炎についてのよくある質問(Q&A)
【Q1】花粉症と風邪の症状の違いは何ですか?
【A1】花粉症と風邪の違いは、目と鼻の症状で見分けられます。
花粉症は、風邪よりも目に症状が強く表れ、目のかゆみを感じたり充血したりします。
くしゃみは、花粉症と風邪のどちらでも見られる症状ですが、風邪の場合だと初期症状として現れ、大体1日~2日で治まります。
花粉症だと何回も続けてくしゃみが出ます。
また、鼻水にも違いがあり、風邪の場合は黄色く、粘り気があります。
【Q2】初めて花粉症になった人の場合、前述のかぜ症状との違い以外にも見分け方はありますか?
【A2】親が花粉症だと子どもも花粉症になりやすいので、親が花粉症かどうかもひとつの判断材料になります。
ナザールαAR0.1%についてのまとめ
まず、「アレルギー性鼻炎」とは?
鼻の粘膜に入った異物(花粉)を排除しようとする反応が過剰に起こり、主に鼻水、鼻づまり、くしゃみといった鼻炎症状がつづく状態のことです。
現在、日本人の約25%が花粉症だといわれており、原因となる花粉の飛ぶ季節にだけ症状があるので、「季節性アレルギー性鼻炎」という名称になります!
日本では、約60種類の植物が花粉症を引き起こすと報告があります。
スギ、ヒノキ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、シラカンバなどの「主なアレルゲン」が原因となる「季節性アレルギー性鼻炎」に対して高い効果を発揮してくれる「点鼻薬」です!
「ナザールαAR0.1%」のメリット、デメリット(特徴)としては!
- 要注意の成分「血管収縮剤」が配合されていない
- 眠くなる作用のある「抗ヒスタミン成分」が無配合なので、眠くなりにくい
- 「ステロイド」が配合されているので長期連用は不可、使用方法を必ず守る
「要約」すると、こんな感じです!
通常のナザールとは、全く違う成分構成で出来てます!
「抗炎症作用」等が強いとはいえ、「ステロイド」を配合してるので効果は期待できますが、こちらも注意が必要です!
特に「使い方」を守って、正しく使いましょう。
ある程度使用しても症状が改善されない場合は、早めに専門医を受診することがおすすめです。